初冬の夕暮れ
文・写真 牛山与広

 昨日(11月16日)は茅野の小池邸の完成見学会だった。
9月15日から2ヶ月の間に6箇所で見学会を開催するという、当社始まって以来の過密スケジュールであり、このシリーズ最終戦が昨日であった。
そんなこんなでやや忙しい日々を送っているうちに、「松本で初氷」「川上村で気温−5℃」と冬の到来を告げる声がラジオから聞こえてきた。そういえば南八ヶ岳の峰峰もここ数日の間にだいぶ白くなり、北アルプスの山容は真っ白で真冬の姿になっている。
 ちょうど夕方から諏訪湖の近くの現場で打ち合わせがあり、1時間ほど余裕があったので整備された湖周の遊歩道(ランニングコース?)を冷たい風に当たりながら歩いてみた。
コンクリートで固めた護岸の風景から、ここ10数年かけて自然回帰風の湖周に大きく変化している。高齢者が息を白く吐きジョキングしている。中学生の10名ほどの男子が耳障りな嬌声を上げスケートボードをしている。アベックが数組静かに湖畔にたたずんで肩を寄せ合っている。2歳くらいの子供とその母親がゆっくりと散歩している。幼稚園児が自転車乗りの練習をしそのすぐ近くで祖父が心配そうに見ている。
ベンチに座って、岡谷方面、塩尻峠の向こうに見える北アルプスを見ていたら、突然「田舎の堤防夕暮れ時に、ぼんやりベンチにすわるのさ、、、」と30年も前に流行った『夕暮れ時はさみしそう』という歌のメロディーが頭の中にまわり始めた。最近は何故か突然こんな感じで昔の歌が湧き上がる。さて歌詞もメロディーも出てきたのだが歌っている人(グループ)の名前が出てこない。ずっと考えてみたものの、活動の鈍い頭では何ともならず、古くからの友人に携帯で聞くことにした。「『夕暮れ時はさみしそう』は誰が歌っていたっけ?」「それってサディスティックミカバンドじゃなかったかい」「違うと思うよ、PPMとかNTTとかDDTとかって感じじゃなかった?」「ああわかったNSPだわ!」「ありがと」太陽が有賀峠付近に沈んで行った。湖面が急速に黒くなり、湖畔を渡る風も強くなった。上空にキラリと光る物体が幾つか見える。飛行機だと思うが、未確認だからUFOということにしておいた。若干赤みがかった空も、雲がないせいかまた青色に戻って行く。
白鳥、全面結氷、御神渡り、こんな話題がすぐそこに見える初冬の諏訪湖だ。   
風は益々強くなり、温度も下がってきた。周辺は1組のアベックと私だけとなった。
お邪魔虫はもう1回夕暮れの空を見上げ、退散することとした。

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