「へいへいほう」7月号より
 先月号の予告のように、今月は、「ゼロ円エネルギーハウス実戦編」をお送りします。
 まず、「一般的な家庭の年間光熱費は、何円くらいか?」について考えてみます。各家庭で、持っている家電品も違うし、煮物が多い家と、サラダの多い家とでは、調理のエネルギーも違うことでしょうから、一概に平均値と言っても難しいことです。
 国内電力10社共通の月刊情報誌である「住まいと電化」の別冊号に、下記の条件によるシミュレーションがのっていましたので利用させて貰います。
 このシミュレーションでは、光熱費を4種類に分けています。①照明、家電 ②調理 ③給湯 ④暖房の4区分です。 なぜこの様に分けたかと言いますと、ガス、灯油を使った場合と、フル電化の場合の光熱費の比較がしやすいからだと思われます。

【条件設定】
・立地条件:札幌市・家族人数:4人・木造2階建て床面積119.45㎡・断熱性能:Q値=1.8W/㎡K 設置設備(下表)

フル電化住宅 ガス・灯油併用住宅
給湯 電気温水器460Lマイコン型 石油ボイラー4,000Kcal/h
調理 IHクッキングヒーター4.0KW ガスコンロ 都市ガス
暖房 電気蓄熱暖房6台
計13.7KW
石油温水パネルヒーターパネル6台計9,955Kcal/h

  【シミュレーション結果】
フル電化住宅

照明・家電+調理 給 湯 暖 房
110,100円    32,800円 65,200円

年計 208,100円


ガス・灯油併用住宅
照明・家電 調理 給 湯 暖 房
85,600円    34,000円 38,000円 72,500円

年計 230,100円

(※原典の資料では、深夜電力が5.97円/KW、灯油料が33円/Lにて計算されていましたが、各々7.37円/KW、45円/Lにて計算し直してあります。)

 この結果から見ますと、一般的な住宅の年間光熱費は、20万〜25万くらいと予想できそうです。設定条件の断熱性能は、次世代省エネ基準2地域対応であり(Q値≦1.9)当社のコンプリートシリーズと同レベル。また、札幌の冬季の平均気温は、茅野市とほぼ同等。先月号で記しましたように、この20万〜25万の年間光熱費を、9万5千円以下に減らすことができれば、「ゼロ円エネルギーハウス」の誕生です。「可能かな?」と思うのが普通でしょうが、可能なんです。 
 20万〜25万という年間光熱費は、あくまでシミュレーション、予想値にすぎません。「実際当社でははどうか?」というのをお客様から頂いたデータで検証してみます。

【調査条件】
・調査地:辰野町・家族人数:4人・木造2階建て床面積119.36㎡・断熱性能:Q値=1.8W/㎡K IHクッキングヒーター、電気温水器370L FFストーブ2台
・調査期間:00.10月〜01.9月

照明・家電+調理 給 湯 暖 房
73,700円    32,900円 15,100円

年計A 121,700円
(夜間料金の90%を給湯費と計算)

・調査地:岡谷市・家族人数:3人・木造2階建て床面積137.47㎡・断熱性能:Q値=1.75W/㎡K IHクッキングヒーター、電気温水器460L FFストーブ2台
・調査期間 01.4月〜02.3月

照明・家電+調理 給 湯
暖 房
71,900円    48,100円 17,700円

年計B 137,700円

・調査地:岡谷市・家族人数:4人・木造2階建て床面積121.51㎡・断熱性能:Q値=1.4W/㎡K IHクッキングヒーター 電気温水器460L 蓄熱暖房機+床下ヒーター(8台 11.8KW)
・調査期間 01.7月〜02.8月

照明・家電+調理 給 湯
暖 房
70,800円    48,100円 37,300円

年計C 156,200円
 


どうでしょうか?大分目標に近づいてきました。ゼロ円エネルギーハウスは、フル電化仕様と定義していますから、データCを元に考えてみると、このデータCよりー61,200円 の光熱費を減額せねばなりません。給湯コストからー35,000円、暖房からー20,000円、照明家電からー6,200円と言う仮目標を立ててできるかどうか検討します。


ヒートポンプのすさまじい省エネ効率
 
 先ほどの、データCの住宅は、たいへん省エネ性の高い、光熱費を絞り切った住宅であります。このシェイプアップしきった光熱費から、その上61,200円もの減量を行うわけですから、余程の高効率省エネシステムを利用せねばとても無理な話です。
、「そんな物あるのかいね?」
、「有ります。それがヒートポンプです。」
 私も、つい1年ほど前は、「ヒートポンプ」と聞くともう面倒で、その先を聞くのがおっくうだったのですが、ひととおり説明を受けると、メカが苦手な私でも「なるほど」と思える様な 分かりやすいものです。具体的には、エアコン・エコキュート・冷蔵庫に使われています。どこがそんなに優れているか、続けて聞いて下さい。


「電気を熱にするのは、もったいない?」
 
 答えは、イエスです。何故かと言えば、値段が高いからなのですが、ちょっと違う見方をしてみます。電気というエネルギーは、一般に電気そのものとしては、存在していません。水力で、タービンを回すとか、重油を燃やした火力を利用するとかして電気を作っています。そうすると、「1KWの電力を作るのに、他のエネルギーを何KW使うのか?」と言う数値が、計算で出るのだそうです。この数値のことを、1次エネルギー換算係数とよびます。ちなみに、電力の一次エネルギー換算係数は2.85で、灯油・天然ガス等は、ほぼ1.0です。「牛肉1kgを作るのに、トウモロコシが何10kgも必要だ。」なんて言いますね。「電力は、エネルギー界の牛肉である」と言って良いでしょう。
 さて、例えば火力発電。2.85KWの熱を使って1KWの電力を作りました。その電力を電気こたつに流して暖を取りました。どんなに素晴らしい電気こたつでも1KW未満の熱しか採れません。どう思います。「熱にするなら、最初から熱で使えよ(怒)」と言いたくなりませんか。だから「電気を熱にするのは、もったいない」のです。エネルギー消費の面からみると、電気を熱にするのは、灯油を熱にするのより、2.85倍もったいないのです。 価格面からすると、もっと開きがあり、昼間電力1KW=約23円に対して、灯油を燃やして1KWの熱を採るには、4円50銭で足ります。(45円/L 、約10KW/L )


「ヒートポンプはどこがすごいか」

 この様に電気を熱に替えるのは、たいへんもったいない事なのです。「フル電化でゼロ円エネルギーハウスを造るのはやっぱり無理か」と天を仰ぐところですが、いよいよ真打ちヒートポンプの登場です。
 まず身近なところで、エアコンを例に取ります。質問1「今市販されているエアコンの中でもっとも省エネな機種の場合、1kwの電力で、何kwの熱(又は冷熱)を作れるでしょうか?」・・・
 答えは、なんと「6kw!!」驚きますよね、中学で習った「エネルギー保存の法則」は一体どうなってるんだ。私もこの話を最初聞いた時、全理解できなくて、ナショナルのエアコン事業部にチンプンカンプンな問い合わせの電話をしたりしました。私が、よたよたしながら理解した事、分かってみると簡単です。
 電気を熱に替える事例としてもっとも私たちがイメージしやすいもの、それは、「ニクロム線に電気を通して発熱させるようなケース」これを抵抗発熱と言います。この抵抗発熱で、1kwの電気を1kw以上の熱に替える事は、絶対にできません。これと勘違いするんですよね。
 ヒートポンプ(即ちエアコン)は、そうではなくくて、1kwの電力を使ってモーターを回すのです。モーターを回して空気を圧縮、又は膨張させます。空気は圧縮されると熱を出し、膨張すると熱を奪うのだそうです。(正確には、液化、気化が関係するようですが)私のレベルでは、圧縮=温熱、膨張=冷熱と理解して良い事にしましょう。「じゃあエアコンで良く問題にされるフロンは何をしていたのか ?」フロンは、この空気から採った温熱、冷熱を室外機から室内機に運搬するのに使われるようです。フロンの役割は、冷媒と言う事だそうです。
 こういうしくみですから 世界に冠たる日本の技術を持ってすれば、1kwの電力で6kwの熱量が採れても不思議ではありません。実際、国が省エネを施策とし、2004年省エネ基準なる物を打ち出してから、2004年を待たずして、2年も前に、2004年基準をクリアーした凄いエアコンがどんどん市場に出たのです。この1kwの電力で何kwの熱が取れるかという性能を、成績係数[COP]と呼びます。例えば、1KWの電力で、6KWの熱が採れるエアコンは、COP=6.0と表示されます。エアコンを選ぶ時には、このCOPが何より大事で有る事は論を待ちません。


良くできすぎた話

 ついでに、ヒートポンプのもう一つ優れたところ。空気を原料として窒素肥料が作れるらしいのですが、ヒートポンプも、まさしく「空気を原料に熱を作っています。」
 空気はタダです。誰の許可も取らずに使えます。その上、空気から熱を採ったとはいえ、空気の質は何ら変わっていません。元の空気がきれいなら、熱を採った後の空気もきれいなはずです。また、熱(冷)を採ったと言っても、もともと空気が持っていた熱を、人間に都合良く、温熱と、冷熱に振り分けただけで(例えば夏は、室内機からは冷風が出るが、室外機からは温風が出る)またどこかで混じって、元の空気の温度に戻るはずです。原料の性質を何ら損ねることなく、ほぼ永久的に利用可、しかもタダ。良くできすぎた話でしょう。(何かおかしいところが有ったらどなたか教えて下さい。実は話がうますぎて不安)


いよいよゼロ円エネルギー
 
 さて、ヒートポンプを利用して、データCをベースにゼロ円エネルギーハウスをシミュレーションします。
①給湯コスト データCで使用されている電気温水器の器具効率(COPと言っても良い)は、0.85です。対して、現在最高効率のエコキュートは、COP=3.9(コロナ寒冷地用)、時間帯別電灯の夜間電力を利用すると、器具効率の差が、そのまま料金の差になってあらわれます。その結果として、48,100円の給湯電気料が、10,480円になり、37,620円の減額になります。
 
②暖房コスト データCで使用されている蓄熱暖房機の器具効率は1.0です。かつ使用電力はすべて夜間電力です。データCの暖房費37,300円を、電力費7.37円/KWから割り出しますと、必要電力量=4,820KWとなります。
 これを高COPエアコンで暖房するとどうなるか?現在のエアコンは、エコキュートと違い寒冷地用という機種がありません。寒冷地に強いとされるコロナから頂いた数値によっても、COP5.6のエアコンが外気温ー15℃では、COPは1.0になってしまいます。右欄に[計算式1]を示してありますが、高効率エアコンを使用して暖房すると、暖房に関する電気料は22,150円になり、14,790円の減額になります。
 暖房と給湯で、55,000円の減コストが目標でしたが、現時点では(37,620円+14,790円)=52,410円の減コストですから、目標にやや不足です。
 実は、暖房コストには、まだこの続きがあります。今月号は、ここで紙面が尽きましたので、この暖房コスト削減の続きと、照明家電コストの削減を、来月号の最終回で発表します。
 「真の省エネはディティールに宿る、ゼロ円エネルギーハウス完結編」と、ますますボルテージを上げて来月号に突入だー


[計算式1]
10℃[COP=5.6] 2℃[COP=3.09] ー7℃[COP=2.16] ー15℃[COP=1.00] の数値より、データCの暖房電力量がPM11:00〜AM7:00に半分使用されると仮定し、AM7:00〜PM11:00の間のCOPを(5.6+3.09)÷2=4.34と仮定し、PM11:00‾AM7:00の間のCOPを(3.09+1.0)÷2=2.05と仮定するとその電気料は
●AM7:00〜PM11:00 2,410KW÷4.34×23円+消費税=13,410円
●PM11:00〜AM7:00 2,410KW÷2.05×7.37円+消費税=9,100円
合計=22,510円(ー14,790円)と試算されます。


戻る
ゼロエネルギーハウス基礎編 ゼロエネルギーハウス完結編 次へ

完成見学会のご案内

【完成見学会予定】
3月下旬 南箕輪村
3月下旬 北安曇郡池田町
4月 下諏訪町(予約制)
見学会詳細はこちら>>
 

最新住宅地情報

最新へいへいほう

クリエイティブホームの商品特徴
  • 暖かいけれど光熱費がかからない
  • CO2発生量を激減させる
  • 地震に強い
ページ先頭へ